オーバースローで投げている投手が制球力向上のために少し肘を下げて、スリークォーター気味のフォームに転向するときがあります。また野手のスローイングも投手のオーバースローよりは少し肘を下げて投げる選手も少なくないです。小学校高学年くらいになると二遊間はサイドハンドで送球する場面も出始めます。
そんな時「ボールがシュート回転してしまう」ことはありませんか?
絵のように腕の振りと同じラインでボールを掻けば、ボールはシュート回転します。そもそもオーバースローよりも腕を横に振っているということは横向きの力がかかっているので、そのボールを前に向けて投げようとするとシュート回転がかかってしまいます。シュート回転はバックスピンに比べるとボールが減速しやすい欠点があります。
「野手だったら問題ないんじゃない?」
と思うかもしれませんが、立浪和義氏は「シュート回転の送球は捕球した選手がボールを持ち替える時にツーシームの握りになりやすいので、シュート回転しない送球を心がけていた」と言っていました。理屈で考えればそうですよね。フォーシームに握ったボールを手首を寝かせて横回転をかけて投げれば、捕球側のグローブに収まる時には縫い目は90度傾きます。
やはり投手も野手もバックスピンのかかった送球をするに越したことはないのです。
【腕を下げ気味でバックスピンをかける投げ方】
腕を下げてもシュート回転がかからずバックスピン系のボールを投げるためには、これまでも紹介してきた「スパイラルリリース」が重要になります。
このように腕を内旋させながら押さえ込むように投げるとバックスピンがかかりやすくなります。もっと腕を下げてサイドスローやアンダースローで投げても原理はほぼほぼ同じです。サイドスローの投手の中には「手首を立てて叩く」といった表現をされる方もいらっしゃいます。イラストで表現するのは難しいのですが、Youtubeなどでアンダースロー投手のスローモーション動画も参考になると思います。
パドレスに移籍が決まった牧田投手のスローモーションなどは参考になります。
高校生でもこれができなくてシュート回転が治らない下手投げ投手をよく見かけます。サイドハンドスローイングの時に悪送球を頻発する内野手もこの動作ができてない選手が多いです。『下半身を使ったスローイング』を身につけようの投稿でご紹介したような選手もボールがシュート回転しやすいので、下半身の使い方とセットで矯正を試みた方が効果が高いと思います。
投球動作の矯正は選手と指導者の我慢比べです。「教えてもなかなか上手くいかない」と苛立ってしまったら指導者の負けです。選手はいつもと違う動作をさせられているストレスに耐えているのですから、指導者も根気強く診てあげましょう。