年が明け、早いところでは2月から大会が始まるチームもあると思います。
また冬の間もボールを使った練習を継続しているチームも多いと思います。
冬の間に悪い癖の矯正や基礎技術の向上を図り、次のシーズンに生かしたいです。
今回はいわゆる「手投げ」の矯正について書きたいと思います。
最近の野球選手の中にはスローイング、打撃において「正対が早い選手が多い」という傾向は、これまでもこのページで触れてきました。正対を早くすると身体に開放感ができるので、様々な動作がしやすいという特性があります。一見良さそうに聞こえますが、これは「余計な動作を起こしやすい」ということも意味していると思います。関節の柔らかい選手は可動域が広い反面、異常な関節稼働を起こしやすいために故障しやすいという現象に似ています。
これは「手投げ」と称される動作によく見られる傾向です。ボールを投げる時に正対が早すぎると、左足を踏み込んだ時に右膝の重心が真下に落ちやすく、身体に下向きの力が加わって上半身と下半身で力のかかる方向が分断されてボールに力が上手く伝わらない現象が発生します。こうなると腕を振ることでしか速度を上げることができなくなってしまいます。当然、肩や肘への負担は上がります。
せっかく足を踏み出して体重移動をしているわけですから、その体重移動の力もボールに伝えることで効率よくボールを投げたいです。そのためにはリリース後に左股関節に右半身を乗せるようなイメージでボールを投げたいです。
この時に「正対の早さ」はスムースな体重移動の障害になります。
正対を抑えるためには「セット状態からキャッチボールを行う」なども効果的です。
選手は概ね、本能的に「正対したい」という感覚を持っています。
最初に正対した状態からスローイングを始めると、上のイラストの②〜③の体勢が作りにくく、正対したままで投げがちです。下半身の体重移動を効率的に使うために上記のようなスローイングの練習を行うと左足への体重移動が改善されることがあります。
寒い季節は身体が動きにくく動作も小さくなりがちです。「小さく投げる」ということは負荷がかかる場所も限定され、それが故障に繋がることもあります。
ゆっくり、大きなフォームで体全体を大きく動かしながら投げましょう。